2024/04/20 18:03


1.腸内細菌叢がもう1つの臓器?! 2.どのような機能が考えられるのか?   ①免疫系   ②代謝系   ③腸内恒常性   ④脳機能   ⑤その他 3.まとめ


1.腸内細菌叢がもう1つの臓器?! 腸にはどんな働きがあるのか?と聞かれた時、『食べ物を消化したり、栄養や水分を吸収する機能がある』と思い浮かべると思います。これまで単純な臓器と思われてきた腸ですが、最近の研究では、身体全体に関わる重要な役割を担っていることがわかってきています。 前回のお話(blog:腸内細菌ってどういう生き物?!)からも
腸内細菌叢=腸内フローラは、多くの臓器の機能と密接に関連していることがわかってきています。 身体全体の体内における調節機構として機能しているようにも見えるため、『もう1つの臓器』とも呼ばれています。

2.腸の重要な役割とは? では、消化・吸収以外にどのような機能が考えられるのか、詳しく見ていきましょう。 ①免疫系 腸は、口からやってきた食べ物をなんでもやみくもに吸収しているわけではなく、栄養素なのか、異物なのかを選別する機能が備わっています。栄養素は味方と判別され、腸内を通過し、腸内細菌のエサとなっていきます。また、病原菌や毒などは敵と判別され、体外に出そうとする仕組みがはたらき、下痢などの症状を引き起こします。 ②代謝系 重要なはたらきとして、ホルモンを分泌する機能があることもわかってきています。腸管にあるホルモンを分泌する細胞に、腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸が作用することで、血糖値や糖尿病に関わる、GLP-1などのインクレチン(消化管から分泌され、膵臓のランゲルハンス島に作用して血糖値を下げるインスリンというホルモンの分泌を促進して、食欲も抑えます)というホルモンが作られるのです。 ③腸内恒常性 腸内細菌叢=腸内フローラは、成人で約1000種類、100兆個以上の腸内細菌からなります。ある腸内細菌が産生した代謝物質を、別の細菌が活用するなどし、その環境を作り上げています。これにより、外部から入ってきた病原性細菌に対してもある種の抵抗性を発揮し、環境を守ろうとするのです。 ④脳の機能

脳と腸は迷走神経を介して繋がっていて、自律神経や内分泌など双方に影響しあっていると考えられています。この関係を、脳ー腸相関と言います。まだ全容は解明されていませんが、たとえば、ストレスを感じることにより腸の動きが変化し便秘や下痢を招きます。逆に腸内環境が変わることで不安になったり、リラックスしたりすることもできるのです。また、少し難しくなりますが、パーキンソン病と言う神経系の病気があります。2016年の研究で、腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸が、パーキンソン病の増悪因子となりうると報告されました。一方で、2022年の研究では短鎖脂肪酸が少ないとその症状が進行する、とも言われており、神経系の病気と腸内細菌叢の関連は今後も注目すべき点です。

⑤その他 肝臓や腎臓など、多くの臓器との関連が続々と報告されています。 腸内細菌は通常、栄養源として【糖】を優先的に利用しますが、便秘により腸の蠕動運動が低下することで糖が枯渇して、その代わりにタンパク質を利用し始めます。その際に、代謝物質としてアミノ酸の分解により、慢性腎臓病の原因となりうる尿毒症物質を作り出してしまうです。このように、一見関係のないように思われる臓器に対しても、代謝物質を介して関与していることがわかってきています。 3.まとめ 消化・吸収という単純な機能だけ、と思われていた腸ですが、腸内細菌や腸内細菌叢=腸内フローラを介して、その他にどのような役割を持っているのかを知ることが大切です。身体にどのような影響を与える器官なのかを知っておくと、自身の健康管理や内面の美容という観点だけではなく、例えば、美しい肌を保つために必要なポイントは何か?を知ることもできるはずです。