2024/06/10 21:00



1.『ディスバイオシス』っていったい何?!
健康な腸内とは、有益な菌を含む多種多様な腸内細菌がちょうど良いバランスを保つことで、免疫の恒常性が維持され、有害な菌の増殖を妨ぎます。そして同時に、あらゆる炎症の発生が抑制されています。
腸内にさまざまな種類の腸内細菌がいて、バランスを保っているというのがポイントです。
その反対である、腸内細菌叢がバランスが乱れた状態を「ディスバイオシス」といいます。
実はこのディスバイオシス、多くの病気に関わっていることがわかってきました。

現在までに関連が確認されている病気は、
糖尿病やメタボリックシンドロームなどの代謝性疾患・がん・喘息やアレルギーなどの免疫系疾患・うつ病やアルツハイマー型認知症といった神経系疾患などと様々です。
今回は、ディスバイオシスが病気を引き起こすメカニズムと原因をご紹介していきます。

2.ディスバイオシスのメカニズムとは?
『ディスバイオシス』とは、腸内の有益な菌が減少し、有害な菌が異常増殖する状態です。
ディスバイオシスが進行すると、腸管を保護する粘液が薄まってバリア機能が低下し、免疫反応が高まり、炎症が起こります。
この炎症によって、腸の粘膜に穴が開いて菌や菌体成分のリポ多糖類(LPS)が血中に漏れ出す「リーキーガットシンドローム」が引き起こされ、その血液が全身を巡ることで慢性的な炎症が生じ、さまざまな不調や病気を引き起こすのです。


3.ディスバイオシスを引き起こす原因とは

では、一体なにが原因と考えられるのでしょうか。
ディスバイオシスの原因としてまずは「病原菌の増殖」が挙げられます。病原菌が増殖することで、腸管内に炎症が起き、抵抗性が失われやすくなります。
また、抗生物質の繰り返しの使用が、腸内細菌叢が不安定な状態になる原因としても挙げられています。繰り返し使用することで、抗生物質に耐性をもつ病原菌が増殖する状態を招く可能性もあるのです。
そして食事。現代社会において、高脂肪食、高糖質食、高たんぱく質食といったバランスが偏った食事に陥りやすく、また食物繊維の少ない食事によって腸内細菌叢のバランスが変化することがわかっています。合わせて、運動不足・不規則な生活といったことも要素に加わります。
遺伝的影響もゼロではありませんが、腸内細菌叢においては遺伝よりも食事の影響の方が大きいと考えられているのです。