2024/05/07 23:21



1.睡眠不足と体の不調 2.睡眠不足が腸内細菌叢を乱すメカニズム 3.今後への期待


1.睡眠不足が引き起こす体の不調 睡眠の質をあげよう!と最近よく耳にしますが、睡眠不足とは、一体どのような影響を我々に及ぼすのでしょうか。睡眠不足が引き起こすものとして、経験がある方も多いかと思いますが、疲れや頭痛や吐き気といった日頃の不調を引き起こします。さらには、心血管疾患や脳血管障害、がん、糖尿病、うつ病や認知症といった多くの疾患のリスクを招きかねないのです。今回は睡眠不足が腸内環境にどのように関係しているのか、近年の研究結果からひも解いていきます。 2.睡眠不足が腸内細菌叢を乱すメカニズム 『睡眠』と『腸内環境』。一見関係がないように見えますが、実は睡眠の質と腸内環境の良し悪しが互いに影響し合っていることが、近年の研究で分かっています。 睡眠不足がさまざまな不調を引き起こすには、実際にどのような作用で腸内細菌叢に異常を誘導するのかが徐々に分かってきています。 北海道大学大学院先端生命科学研究院の中村公則教授らの研究グループが行った調査によって、睡眠時間が短い人ほど腸内細菌叢=腸内フローラの組成・機能異常が起こり、腸内環境が悪化していることが判明しました。 睡眠時間が短い人ほど腸内の免疫に関わっている「αディフェンシン」という物質の分泌量が少なく、この「αディフェンシン」が少なくなると、腸内の環境が大きく乱れることがわかりました。 つまり、「αディフェンシン」量を保つことによって、疾患リスクを抑えられるという風にも考えられてきています。 3.今後への期待 「αディフェンシン」は腸管上皮のパネト細胞に存在しており、この腸管上皮は人間の体内で最も生まれ変わりのサイクルが短く、3日から5日で新陳代謝します。わずかな食料から栄養を効率よく取りこみ、また病原菌などから体を守る大切な役割を担っている細胞です。サイクルが早いのは再生へのスピードある仕組みがあると考えられています。 現在はどんなものを食べたら「αディフェンシン」の分泌量が増えるかの研究が進められています。この分泌量を増やすことで、良い睡眠、あるいは睡眠不足にひも付く病気の予防に役立てていけるとしています。 今後も研究結果に期待が寄せられます。 ぜひともこれから、セルフケアとして、睡眠の改善・腸内環境の改善を目指すにあたり「αディフェンシン」の情報を役立てでいきたいですね。